潮目

 いつもご視聴いただき誠にありがとうございます。釣りって、学べる。です。今回のテーマは「潮目」を解説していきます。

 海釣りの解説などで出てくる用語に潮目という言葉を良く見たり、聞いたりしたことがあるかと思います。潮の動きは、海釣りでとても重要な要素で「潮が良い」とか「潮が悪い」など、釣り人同士の会話も良く交わされます。海釣りに大きく影響してくる「潮目」は、何を指す言葉なのか、今回は潮目の意味や、重要性について解説します。今回の「潮目」を学ぶことによって、海の表層で見える潮目の下がどのようになっているかが分かるようなります。最後まで宜しくお願い致します。いつものように結論からみていきましょう。

  • 異なる潮の境目
  • 魚が釣れる目印
  • 潮流地形の変化

この3つについて解説いたします。


異なる潮の境目

 異なる潮の境目について解説いたします。

 一言で海水と言っても、場所によって「水の質」が異なります。例えば、「濁った川の水が流れ込んでいる」ところは、すぐに「水が違う」と感じるように、場所によって海水の質が異なります。この水質が同じグループのことを「水塊(すいかい)」と呼びます。

 海水の場合は塩分濃度・水温・溶存酸素・栄養塩類(えいようえんるい)などが同じところを1つの水塊(すいかい)として扱うのですが、隣り合う2つの水塊(質が異なる2つの水)には、その水質が変わる境目になる部分が必ずあります。

その境目を潮境(しおざかい)といい、海面で見ることができる潮境(しおざかい)が潮目になります。

潮目ができる理由は主に3つあります。

  • 流れが違う
  • 水質が違う
  • 温度が違う

流れが違うについては、流れが速い海水と、流れが遅い海水があります。流れの速さが異なる海水がぶつかるときに潮目が生じます。

水質が違うについては、塩分濃度が濃い海水と、塩分濃度が薄い海水があります。海水の塩分濃度が異なる海水がぶつかるときに潮目が生じます。

温度が違うについては、水温が温かい海水と、水温が冷たい海水があります。海水の水温が異なる海水がぶつかるときに潮目が生じます。

 このように、少しでも水質が異なる海水同士がぶつかるの時は潮目ができます。

魚が釣れる目印

 魚が釣れる目印について解説

 釣りをしていると、潮目が見えれば、潮目付近に投げれば釣れるということは、何となく分かると思います。潮の変化が生じている境目の潮目は、潮が流れている目印にもなります。潮目がないところより、潮目がある方が、魚が釣れる(活性が上がる)要素があります。

潮目で起こる効果は次の2つがあります。

  • プランクトンが集まる
  • 酸素が豊富

プランクトンが集まるについて解説していきます。食物連載の始まりでもある植物プランクトンが成長するために必要な3要素は、光、栄養塩、温度です。植物プランクトンの成長にとって、光と温度は環境が安定している状態(海水の動きが静かな状態)が良いとされています。しかし、植物プランクトンが成長するために必要な栄養塩が絶えず供給される状態、すなわち、海水が常に動いている状態も必要です。

この植物プランクトンが成長するためには、太陽からの光が必要です。栄養塩を取り込み,光合成をおこなって成長,繁殖していくいきます。太陽の光は、およそ90%は海面によって反射され,およそ10%が海中に入るといわれています。表層の付近にあった栄養塩は、植物プランクトンの光合成による成長とともに少なくなり、やがて、栄養塩が少なくなったことにより、植物プランクトンが死ぬと,海の中に沈み,光の届かない深場へと沈んでいきます。ここで分解されて炭素の含んでいない無機の窒素やリンとなるため、光が届かない深場では栄養塩が豊富にある状態になります。

この植物プランクトンが成長するための矛盾を解消してくれるものこそが、今回の潮目になります。

例えば、温度の異なる2つの水塊がぶつかる潮目があるとします。 2つの水塊が接している部分(潮境)では、冷たい水塊は密度が高いため重く、暖かい水塊は密度が低いため軽くなります。そのため、冷たい水塊は下へ沈み込む様な流れが生じ、暖かい水塊は、冷たい水塊の上に昇るような流れが生まれます。この暖かい水塊の上昇流によって、水塊の底に溜まっていた栄養塩が植物プランクトンの生息する表層まで運ばれます。

 太陽光が届く水深の栄養分が豊富になることによって、潮目付近ではプランクトンが増殖します。プランクトンが増えることで、プランクトンを食べる小魚や小魚を食べる大型魚も集まってきます。これが、潮目でプランクトンが増える理由と潮目に魚が多くなる要因になります。

しかし、潮目ができればすぐにプランクトンが増えるわけではありません。

 植物プランクトンが増えるためには、太陽光・栄養塩・水温の3つの要素が揃っている必要があります。そして、植物プランクトンの増殖にはある程度の時間が必要です。

 そのため、釣れる潮目の条件としては、長時間にわたり潮目ができていること、頻繁に潮目ができることが大切になります。潮目が長い間できているということは、それだけプランクトンが増えている可能性が高くなり、魚も集まりやすくなります。

 同じ釣り場に通って、潮目ができやすいポイントを探すのも楽しいと思います。

酸素が豊富について解説いたします。

 水に溶けている酸素のことを溶存酸素いいます。酸素は私たちが生きるために大切なものです。私たち人間は空気中の酸素を呼吸して体に取り込んでいます。海の中の魚や動物プランクトンも、私たちのように呼吸(こきゅう)して酸素を取り込んでいます。魚は、水に酸素が溶けていないと、生きて行くことができません。水中の酸素は水面からも溶け込みますが、浅い場所では、植物プランクトンが光合成で酸素を作ります。海流が激しく動く潮目付近は、水中の酸素が増し、魚も元気に動くようになります。

潮流地形の変化

潮流地形の変化について解説いたします。

潮目ができる環境の主な要素は次の5つがあります。

  • 堤防
  • 防波堤
  • 砂浜
  • 汽水域の河口
  • 沖合

 堤防があるところは、漁港などが近くにあることが多く、船が行き来するために人口的に航路が掘られています。航路の影響で海中に沖に出ようとする動きの潮流が生まれ岸に向かう潮流がぶつかり合いできる潮目があります。また、潮の満ち引きのや船の行き来、また風以外の影響を受けない止まった海水と潮流や海流の境目に潮目が起こります。

 防波堤があるところは、岸に向かう大きな波や強い引き波を和らげるためにテトラポットやコンクリート壁が設置してあります。テトラポットやコンクリート壁に跳ね返されて沖に出ようとする動きの潮流と岸に向かう動きの潮流にぶつかることで潮目が起こります。

 砂浜では、海が荒れた時や波の高い所で出来るかけ上がりがあります。 かけ上がりで潮流が複雑な動きが起こり岸に向かう潮流とぶつかり潮目が起こります。

汽水域の河口には、潮の動きや川の流れにより潮目が出来ます。川の流れや雨による濁流によって出来た筋で流水量が変わり海水との塩分濃度の違いが起こり潮目ができます。また、潮の動きにより海水量が変わり川の流れる水との塩分濃度の違いが起こり潮目ができます。

沖合は、流れが強く波も高い海流と海流がぶつかるため、岸寄りの潮目より強くなります。沖合は主な障害物がないため、潮目の基本でもある、塩分濃度の違い、水温の違い、海流の違いによる海水がぶつかることで潮目が起こります。

まとめ

今回のまとめです。

 今回の潮目について、多少難しいところがあったかと思います。しかし、最初はあまり深く考えずに「潮目は釣れる」程度で思って頂いても大丈夫です。釣りに行く回数が増えれば、海や河口などの状況の変化に気付いて次第に理解も深まると思います。潮目には潮流や海流の存在だけではなく、堤防やテトラ帯など、釣り場周辺の状況や海底の地形変化も影響してきます。このように潮目で起こる水中のイメージができれば、漠然としていた釣りの見方が変わり、潮目のどの場所に魚が居るかが予測できるようになります。なにより、水中イメージと魚の居場所が合えば、釣れる確率も上がり、釣りがより一層、楽しくなることは間違いありません。

 今回の授業は以上となります。「潮目」の授業が、これからの釣果アップの手助けに少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 釣りって、学べる。は「今よりも一歩幸せに!」をテーマに5つの力を身に付ける授業を配信しております。

  • 釣り具や釣り場を「選ぶ力」
  • 潮や天候を「読む力」
  • 状況に合わせて「変える力」
  • 魚を「釣る力」
  • 釣った魚を「捌く力」

 今日が人生で一番楽しい日です!釣りは参考になることはあっても答えはありません。自分の頭で考えて、行動して、改善していくことが、釣りの上達や楽しさに結びつくと思います。これからも釣りを学んで幸せな道を歩んで行きましょう!

釣りって、学べる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました